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思いがけない交流もアル 東京アートポイント計画って?

戦略広報課です。
「東京アートポイント計画」という事業があります。
今日はコトリちゃん(誰?)が解説してくれます。

東京アートポイント計画とは、社会での新しい価値観や、クリエイティブな活動を生むための拠点「アートポイント」をつくる事業です。
具体的には都内各所の地域住民とNPOが一緒になり、アートプロジェクトを行っています。
アートプロジェクトというのは、アートが持つ「当たり前を問い直す「課題を見つける」「異なる分野をつなぐ」という性質を活かし、アーティストらと人々がよい関係を築きつつ、コミュニティの土台をつくるものです。

いろんな地域の東京アートポイント計画

「HAPPY TURN/神津島(こうづしま)」


このプロジェクトでは、東京の島・神津島村に空き家を改装した「くると」という拠点をつくりました。ここは誰でも集まることができる「なんでもない場所」。
それまで神津島には昼間気軽に立ち寄ったり、集まる公共の場所があまりありませんでした。小学校の授業と連携したり、アーティストと交流する企画をきっかけに、中高生もプロジェクトに参加するようになっていきました。
また島のUターン、Ⅰターンの移住者たちが情報収集や居場所を求めて訪れることもあるのです。

「くると」外観
「おどって遊ぼう!冬でも盆踊り!」イベント。みんな楽しそう

「くると」の庭で神津小学校の図工の授業。こんな使われ方もありなのです。
HAPPYTURN/神津島

「めとてラボ」


「めとて」は「目と手」の意味です。手話を表していて、ろう者・難聴者・CODA(ろう者の親をもつ聴者)など、主に手話を使うメンバーと手話通訳者やアドバイザーも含めた10数名によるプロジェクトです。手話を通じて育まれてきた文化を見つめなおす取組を行っています。
メンバーには手話やろうの文化の記録を残したいという思いがあります。十数年前まで、ろう学校の現場では口話(口の動きを読み取り発話する方法)が教育の中心で手話は禁止されていました。また視覚言語である手話を音声や文字で残すことは難しいものがあります。
そこでめとてラボでは、ろう者の家庭で撮影されたホームビデオをもとに、暮らしのなかにある手話の記憶・記録を収集し活用する取組を始めました。

気づいたことを交換しあうホームビデオ鑑賞会を開催  (撮影:加藤甫)

めとてラボ

「カロクリサイクル」

ここはUR賃貸住宅大島四丁目団地。カロクリサイクルのアートポイントがあります。

団地の一画を借りています。広いしきれいだしオシャレ~。
代表の瀬尾夏美さんにお話を聞くことにしました。

せ(戦略広報課):カロクってなんのことですか?
瀬尾さん:カロク=禍録とは「災禍(さいか)の記録」のこと。自然災害や戦争のような災厄(さいやく)を体験した人、目撃した人が、語りや文章、映像など、さまざまなかたちで残した記録のことを指しています。

せ:どうしてカロクを使ってプロジェクトを?
瀬尾さん:「最初のきっかけは東日本大震災です。ボランティアとして東北に行きました。
10年間現地で被災後の人々の暮らしや復旧の様子を記録したり、展覧会や映画制作などをしました。災禍のあとはとても辛いものがありますが、同時に生き抜く術や新しいアイデアが生まれる時間でもあるなと感じました。東北でそうやって積み重ねてきたものをまずは広げたいと思いました」
瀬尾さん:「もう一つきっかけがあるんですが、東京大空襲を長年記録されてきた早乙女勝元さんと少し交流があって、東京にも過去の記録の積み重ねがあるんだと知り、もっとそのことを調べたくなりました」

せ:どんな活動をしているのですか?
瀬尾さん:「江東区を中心に様々な活動をしています。江東区は昔から震災、戦災、水害などいろいろな災禍に遭ってきた土地です。そこで起きたことや、そこからどう立ち直ってきたかという記録や証言を調べ、それらを元にこれからどういう未来をつくっていくかを話し合ったりしています。ほかに番組を配信したり、フィールドワークもしています」

「テレビノーク」配信中。中央が瀬尾さん。YouTubeで見ることができます。

ワークショップ「記録から表現をつくる」で東京都慰霊堂を見学

せ:面白い場所にアートポイントをつくりましたね
瀬尾さん:はい。ここは約2500戸の住宅がある築50年以上の大きな団地の一画にあります。住民の数だけの物語がここに詰まっているのです。お年寄りの経験談などを聞きたいと外から若い人も集まってきます。外国の方も多く住んでいるので、その方々の国の話を聞くこともあります。
 
せ:アートポイントは今後どんな風になっていくんでしょう
瀬尾さん:「コロナがあって住民同士のかかわりがすごく減りました。とりあえず居る場所がほしい、何人かで会える場所がほしい、というニーズがあります。まずは住民のみなさんにこの場所を開放したいです。また、ここには全国の災害や災禍に関わる郷土資料があるのですがそういった資料を見たおばあさんが『この台風わたしも経験したよ』と言って体験談を語ってくれたり、戦争の手記を見た方が『わたしの夫が残した戦争の資料もあなたたちが読むなら持ってくるね』と持ってきてくださったり。思いがけない交流があります」

他の地域でもいろいろな東京アートポイント計画があります。こちらも必見です!


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