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知っちゅう?下水の中のコロナウイルスに感染性は見当たらんぜよ

広報課です。
なぜいきなり土佐弁なのか?
今回は画期的な調査のご紹介をしますので、幕末に斬新かつ画期的な活動をした坂本龍馬にあやかってみました。(無理やり・・)
昨今コロナ関係であまり明るい話題はないのですが、久々にうれしいニュースがありました。

下水のコロナはどうなっている?


下水の中にコロナがいるのか、いたとしたら感染力はあるのか、ないのか?心配に思う方もいたと思います。また下水道の工事や整備を行う関係者にとっては、感染性があるかもしれない、と作業する上でも不安だったことでしょう。
そんな折、昨年8月にATC(大阪府⼤阪市)及びオンラインで第58 回下水道研究発表会が開かれました。
その中の日本語口頭発表部門(全299 編)で下水道局施設管理部環境管理課の石井裕樹さんの論文「下水中の新型コロナウイルスRNA の検出及び感染性に関する調査」が最優秀賞を受賞しました。

01 集合写真

最優秀賞受賞の石井さん(前列中央)
(写真撮影時のみマスクを外しています)

ホッとした~と安堵の声


この調査で国内で初めて、下水中の新型コロナウイルスに感染性が認められないことが確認されたのです。
下水道関係者や一般の方々から「安心して下水道工事や作業ができる」「コロナの感染性がないことが確認されてホッとした」という声が多く寄せられました。

きっかけは欧米のアレ

調査が始まるきっかけとなったのは、令和2年3月に欧米諸国で下水から新型コロナウイルスが検出された事で、下水道関係者や都民の方々から「下水道からの感染が心配」という問い合わせが殺到したこと。当初はWHOの見解を説明することで対応しましたが、具体的なデータが示せなかったため、この調査を発案したのだそうです。

感染性は失われていた
  

図2

調査の流れ

感染拡大第2 波渦中の2020 年6 月末から8 月末にかけて、芝浦及び落合水再生センターで流入水及び放流水を採取し、PCR 法によるウイルスRNA の存在の有無、ウイルス培養試験【注1】による感染性の有無の調査を行いました。
その結果、一部の流入下水からウイルスRNA が検出されたものの【注2】その濃度は非常に低く、また、ウイルス培養試験では細胞変性効果が観察されず、感染性は失われている、と推察されました。
放流水では全ての検体でウイルスRNA は検出されず、下水処理過程において除去・分解等を受けていることが窺えたのです。
【注1】新型コロナウイルスを培養できるVeroE6 細胞に下水試料を添加し、コロナウイルスに感染すると細胞の形が変化することから感染性の有無を判定した。
【注2】新型コロナウイルスRNAの検出状況と処理区域内における新規感染者数を比較したところ、概ね10 万人あたりの新規感染者数が4人を超えている際に検出されていた。

図1

ウイルスRNA検出及び感染性の有無の結果

「みなさんの安心の一助に」
石井さん受賞コメント

第58 回下水道研究発表会において、日本語口頭発表部門の最優秀賞という大変名誉ある賞をいただきとても光栄です。
今回の発表では、下水中に含まれる新型コロナウイルスについて、ウイルスRNA の存在及び感染性の有無を調査し「下水中に新型コロナウイルスRNA は存在するが、その感染性は失われていた」という結果を報告させていただきました。
過去の知見から下水を介した感染のリスクは低いとされていたものの、実際に感染性の有無について報告した例は少なく、下水の安全性に懸念が残る状況でした。そのような中で、下水の安全性についての調査報告を聴講者の皆様に丁寧にお伝えできたことが、今回の受賞につながったのではないかと思います。今回の発表が全国の下水道作業従事者の方々や広く一般市民の皆様の安心の一助になれば幸いです。

02 採水の様子

都心部の2か所の水再生センターで週1回採水

石井さん、まっこと受賞おめでとうぜよ。
調査してくださり感謝しとるき、これからも下水道の安全を、くれぐれもよろしゅうお頼み申します。


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