ゾウのお引越しは大変なのだ
東京都広報課です。
10月13日、多摩動物公園のアジアゾウ「ヴィドゥラ」が新アジアゾウ舎に引っ越しました。ヴィドゥラは2012年11月30日に来園。14歳のオスです。
同園では3頭のアジアゾウを飼育しています。2017年に高齢の「アヌーラ」(オス、推定68歳)、昨年「アマラ」(メス、16歳)を現アジアゾウ舎から新アジアゾウ舎に移動しました。しかしこの「ゾウのお引越し」は簡単ではありません。その様子を少し覗いてみましょう。
今回の主役「ヴィドゥラ」登場
引越しミッション開始
これまでのアジアゾウ舎は開園当時から使用してきた施設で老朽化が進んでいました。
また近年ではアジアゾウを飼育するにあたり、北米やヨーロッパの動物園団体による標準が定められています。これを満たす施設として新アジアゾウ舎を整備することになりました。
この新しいゾウ舎は、メスを群れで飼育するための広い運動場や大きな屋内施設を備えています。またゾウの大きな体を支えている足への負担を軽減するため、室内に砂を敷くなどの配慮もしています。
まずはトレーニングから
ゾウは体が大きく力も強いので、移動に使う輸送箱は大型で頑丈なものになります。その箱を運ぶトラックも、トラックに乗せるために使うクレーンも大型のものが必要になります。準備や打ち合わせは引っ越しの数か月前から始まります。
またゾウは見かけによらず繊細な部分もあり、いきなり輸送箱に入れることは困難です。まず輸送箱に入ることから慣らしていき、さらに箱の中で暴れないようにするためのトレーニングも行います。
これらのトレーニング期間は飼育環境やゾウによるため、数週間で行う場合もあれば、数か月かけて行う場合もあります。ヴィドゥラの場合は移動までに時間があり、ゆっくりトレーニングすることができました。
移動のためのコンテナにきちんと入りました
緊張の瞬間。14トンのコンテナを吊り上げ
輸送箱に入れるトレーニングをしっかり行っていても、事前にできないことが一つあります。ゾウを輸送箱に入れた状態でクレーンで吊るという作業です。これはぶっつけ本番です。当日何が起こるかわからないので職員たちが緊張する瞬間です。
重さ約14トンのコンテナ(ゾウの重さを含む)をクレーンで持ち上げてトラックに
新しいゾウ舎に向かいます
センシティブなゾウさんたち
ゾウもトレーニングを重ねると、輸送箱に入ってじっとしていることに慣れていきます。しかし移動当日となると雰囲気の違いを感じるのか、ゾウによっては下痢便を大量にしてしまいます。今回3頭のアジアゾウを移動させましたが、内2頭は下痢になってしまいました。
新ゾウ舎に着きました。またクレーンで移します
「どんなところかなあ」窓からチョコンと覗いています
おしりからソロソロと出てきました
「お、水がある。案外いい感じ (^^♪ 」
ヴィドゥラは初日から寝そべった・・
新しい場所になじむ時間も個体差があります。
「メスよりオスの方が慣れるのが早いように感じます。メスのアジアゾウは昨年5月に移動してきましたが、いまだに落ち着かない様子を見せます。今回移動したオスのヴィドゥラは、その日から横になって寝るほど落ち着いていました。ゾウは安心できないと横になって寝ません。メスはもともと群れで生活する生き物なので、群れで移動できればもっと早くなじむのかもしれません」と飼育担当者。
さっそく砂を鼻でからだにかけてみたよ
お引越し終了~
ヴィドゥラのお引越しで、3頭すべて移動できました。
多摩動物公園の新しいアジアゾウ舎で、みなさんをお待ちしていま~す。