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金メダル!定時制高校生たちがつくった「こん棒」大活躍

東京都広報課です。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が終了して約2か月が経ちました。大会の裏舞台ではたくさんの方が動き、いろいろなエピソードがあったことでしょう。今回ご紹介するのもその一つ。
パラリンピック陸上競技に使われた備品を高校生が作り、それを使った選手が金メダルをとったのです。
製作されたのは陸上競技用備品の「こん棒」。
都立工芸高校定時制課程インテリア科の一昨年度の卒業生で、当時4年生だった13人が依頼を受け、課題研究授業の中で作りました。

高校

JR水道橋駅そばにある都立工芸高校

出た!世界新記録

8月27日、ポーランドのルザ・コザコフスカ選手が、このこん棒を使い陸上競技女子こん棒投F32決勝で世界新記録(28.74メートル)を達成したのです。

こん棒投げ、どんな競技?

「こん棒投げ」は、車いすクラスの中でも障害が重度で、手にも障害のある選手を対象としています。ボウリングのピンに似た⻑さ約40 センチメートル、重さ397 グラムのこん棒を投げて距離を競う種目で、投げ方に制限はなく後ろ向きに投げることも認められています。

小谷実可子さんから贈呈

オリパラが一年延期となったため、4年生は卒業して現在は就職や進学などそれぞれの道へ進んでいますが、去る9月29日、東京2020組織委員会から世界新記録達成の際に使用された「こん棒」が学校へ贈呈されることになったのです。
委員会のスポーツディレクターの小谷実可子さんが都立工芸高校を訪問し、贈呈式が行われました。

贈呈

小谷さんからこん棒が贈られた

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こん棒には重さや長さ、太さなどの規定があります。持ち手は、選手の手の大きさや障害、投げ方などの違いに配慮し、4種類の持ち手のパターンを作りました。また生徒がデザインした学校名のロゴが焼き付けられています。写真には試作品も入っています。

旋盤加工_2

木工旋盤による加工。一本のブナ角材から削り出して作った

塗装の様子

塗装する高校時代の西澤さん

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製作途中のこん棒

生徒3人

卒業生3人に聞きました

製作に携わった元高校生のうち3名が贈呈式に出席しました。
右から春田菫さん、関谷朱花さん、西澤直斗さんです。今大会金メダリストのルザ・コザコフスカ選手が金メダルを獲ったときはそれぞれネットやテレビで見ていたそうです。
大会が延期になり、今まで自分たちが作ってきたこん棒はどうなってしまうんだろう、使ってもらえないんだろうかと不安を抱えた一年だった、と関谷さん。
「でも実際選手が使ってくれて、しかも記録を出してくれて感動しました」と話してくれました。

工芸高校での家具製作のメインは健常者向けのものです。
「障害を持たれているパラの選手は、わたしたちには理解できない力の入れ方や投げ方をするということで、どのようなものが使いやすいのか、研究して作りました」と西澤さん。
でも特定の人だけに合うものでなく、障害を持つすべての人が使える持ち手を工夫して作ったということです。

苦労したところは?と聞くと
「焼き付けたロゴマークの部分がへこんでいて、へこみがあると空気抵抗があり、投げるのに影響が出てしまいます。へこみをなくすために磨くところが大変でした」と春田さん。

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レーザーでロゴを印字

サイン

磨くのに苦労した学校のマーク

先生

製作の指導にあたった佐野友昭先生(左)と樋口副校長

みんなで協議しながら

日本でのこん棒投げは競技人口が少ないため、国内にこん棒生産メーカーがありません。データがない中作るのは本当に大変だったといいます。
「みんなで協議しながら作り上げていました。答えがない中、自分たちで答えを出すという大事な経験でした。これを機に、障害を持つ方にとってどのようなものが使い勝手がいいのかなど、生徒たちが考えられるようになればいいと思いました」と樋口裕之副校長。

元生徒の3人は「自分たちが作ったこん棒で記録を出してもらえてとてもうれしい、名誉なことだ」とさわやかに話してくれました。

報道発表資料 パラリンピック大会備品(こん棒) 都立工芸高校が製作
東京都立工芸高等学校 定時制






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