都レンジャーって誰なの?小笠原母島編
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都レンジャーって誰なの?小笠原母島編

東京都庁

広報課です。
「都レンジャー」って聞いたことがありますか?
都の自然保護指導員の通称で、多摩地域の高尾・奥多摩・御嶽・檜原の4か所に各4名、小笠原地域の父島に5名、母島に4名の計6ケ所・全25名配置されています。
その中でも小笠原地域の都レンジャーは、本州から1000キロ離れた海洋島という特殊な自然環境の中で活動しています。今回は「母島の都レンジャー外来種への取組」を、実際に母島で活動している都レンジャー・足立祥吾さんに伺いました。

小笠原母島概略地図
サムネ用@ははじま丸から沖港

都レンジャーが港で出没する・・。

「レンジャーを港でよく見かける」「ははじま丸が入出港するとき、立会いで何かしているらしい・・」
と島民のみなさんがささやいています。
レンジャーは港でいったい何をしているのでしょうか。

足立さん
「主に希少な動植物の密猟や盗掘の監視をしているんです。また海水マットを敷いて靴底の泥を落としてもらっています。これは外来種を入れないためです」

なるほど、監視も行いつつ外来種の対策・・。ん?そして靴底の泥落とし??

「はい、地面や土中にはさまざまな生き物がいます。靴底に付く泥の中にも植物の種子や小さな小さな生き物がいます。見えない、気づかないだけで実はたくさん隠れているんです。
それらが、他の土地から運ばれてしまうと、母島にいる生き物の居場所を奪う危険があります。

くつ

靴底の泥。この中にも種が・・

集落などで見かける植物の多くは「昔は見なかった」と聞きます。つまり昔そこにいた在来の植物たちは、居場所を新たに入ってきた外来種に奪われて、消えてしまったということです。なので、母島の生態系を守るために、定期船「ははじま丸」の乗下船時には泥落としマットを使って泥を落としてもらっているという次第です」

note220212立会い準備

海水を入れたマットで靴底の泥を落としてもらう

note220212ハハジマ丸

父島と母島を結ぶ定期船「ははじま丸」通称はは丸

そういう理由があったのですね。
あの、マットの中心に描かれているのはカタツムリですか?

「はい。このカタツムリは小笠原固有のカタマイマイ類がモチーフとなっています。固有種ということで、みなさんの知っているカタツムリとはちょっと違う特徴があります」

かたつむり

小笠原をイメージした世界自然遺産登録記念ロゴデザイン
隣にはアカガシラカラスバトも

見たところ、そんなに変わらないようにも見えますが

「簡単に説明すると、一般的なカタツムリより殻が分厚く硬いので『カタ(硬)マイマイ』なんです。遠い昔、本土から海を渡り長い時間をかけこのように進化しました。殻が厚くなった理由は、カニなどの捕食者から身を守るためと考えられています。現在カタマイマイ類は土の中から樹の上まで生息域を広げ暮らしています。

note220212ヒメカタマイマイ

母島に生息するヒメカタマイマイ

note220212ヌノメカタマイマイ

ヌノメカタマイマイ

母島には約50種類のカタツムリが記録されていて、そのうち約20種が母島固有種といわれています。今後も新種発見の可能性があります。しかし同時に、絶滅の危機にも晒されているんです」

絶滅の危機

危機ですか。。その原因は何でしょうか?

note220212ニューギニアヤリガタリクウズムシ

「理由はいくつかありますが、やはり外せないのは外来種の問題です。上の写真はカタツムリたちを食べてしまう問題児『ニューギニアヤリガタリクウズムシ』です。
1990年頃から父島で確認されており、父島では多くのカタツムリ類が絶滅の危機に瀕しています。
母島ではニューギニアヤリガタリクウズムシの侵入が確認されていないため入れないことが何よりも重要です。ニューギニアヤリガタリクウズムシは海水に弱いので先ほどの海水マットなどの対策が有効となります」

note220212バケツとブラシ

海水を汲んだバケツとブラシ
泥落とし後、靴を乾燥させれば十分な対策になる

入れない、持ち出さない

外来種は「入れない」ということが重要なのですね

「はい。さらにいうと、動植物を持ち出さないことも重要です。外来種の問題の多くは、人間が生物を本来の生息地から他の地域へ移動させたことから引き起こされています。『ちょっとだけだから』と植物や昆虫などを持ち込んだり持ち帰ったりしてはいけません。

note220212ウスカワマイマイ

人間の活動によって本来の生息地から移動し定着した外来のマイマイたち
現在は母島の集落から山地にまで拡散している。上はウスカワマイマイ

note220212アフリカマイマイ

アフリカマイマイ

また自分で気づかず靴下や衣類などに種子がついていることもあります。こういった、うっかりを減らすためにも、小笠原の歩道に設置されている外来種除去ボックスの中の粘着シートなどを用いて種子の除去を行います。歩道をご利用の際は(外来種の除去に)ぜひご協力お願いします」

note220212靴下に付着したセンダングサ種子

靴下にくっついた外来種オオバナセンダングサ(写真下)の種子


note220212オオバナセンダングサ


note220212外来種BOX中身

外来種除去用のお酢や粘着シートなどが入ったBOX

おまけ

足立さんからおまけのクイズです。

小笠原生き物クイズ陸鳥編 (1)

★正解は一番下に

足立 祥吾(あだち しょうご)さん
自然の中で働いていて素敵ですね~

自己紹介写真

自然環境系の専門学校を卒業し、東京・栃木・岩手と場所を変え、人と自然の橋渡しとなるような活動を行う。好きな生き物は水生昆虫。中でも「ヘビトンボ」がイチ押し。都レンジャー3年目。

足立さん、ありがとうございました。
次回は父島編です。お楽しみに~

小笠原生き物クイズ陸鳥編 (2)



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