成長した作り手のステキな雑貨
戦略広報課です。
障がいのある人が描く絵や作る作品には、ステキな味わいのあるものがあります。なので時々アールブリュット展(障害のある人の表現作品なども扱う展示)やそういった方々が作る雑貨のお店などにも行ったりします。
都庁都民広場にある「KURUMIRU」もそうしたコンセプトのお店です。近いので時々寄っては「何かあるかなあ」とチェックしに。(そして時々購入・・)
目黒区にある福祉施設「しいの実社」の商品もここで販売しています。
「しいの実社」では手織りのマフラーやスカーフ、裂き織製品、他にパンやお菓子などを作っています。
今回は「しいの実社」にお邪魔して織物や手すきハガキなどを作っている作業場を見せていただきました。
丁寧なお仕事
例えばこのマフラー。カシミアの中でも最高級のホワイトカシミア100%を使った期間限定の綾織(あやおり)マフラーです。綾織は少し難しい織り方ですが一段一段、丁寧に織り機の操作をすることで織り目が斜めになり光沢がうまれます。軽くて気持ちがいい、ふんわりとした肌ざわりです。
一本一本、たて糸を織り機に通し、一段ずつよこ糸を入れます。これを繰り返していくことでマフラーが出来上がっていくのです。
こちらはお手頃価格のウールのマフラー。
マフラーの房は手でねじり、撚(よ)っています。
織り上がったマフラーをぬるま湯で何度も優しく洗います。このように仕上げていくことで織りの組織を安定させ、房がほどけないようになります。
手間ひまかけた紙漉き
味わいのある風合いの手漉きハガキ。これを作るには・・
半日かけて牛乳パックからパルプをひとつまみずつ取りだします。
細かくちぎった古紙を、先ほど取り出したパルプに混ぜて色をつけます。細かくちぎると個性的な色合いが生まれるから不思議です。
そして紙を漉く工程に移ります。
単純な作業ですが、施設の作り手たちの大事な仕事です。みなさんの働く喜びにもつながります。
絶妙な色合いの裂き織
かわいらしい色合いの裂き織コースター。こんな色合いをどうやって作っているんでしょう。
柄の生地を細かく裂いてから、よこ糸にして織りあげると、えも言われぬ新しい色調が生まれます。
使われなくなったリサイクルの衣類などを、ひと目ずつほどいたり
布を細く切ってよこ糸に。たて糸は丈夫な綿の糸を使います。両方を使って織り上げていきます。
作業している方に少し質問をしてみました。
織り手は自閉症の方が多く、決まった通りの手順で行う作業が得意です。写真はバッグなどの生地を織っているところ。どんな気持ちで作っていますか?と尋ねると「出来上がると嬉しい」と話してくれました。
色々な素材の糸をよこ糸にして、カフェマットなどが出来上がります。
このように障害を持つ方々が一所懸命作った品々を、冒頭で紹介した「KURUMIRU」でも販売しています。(都庁店、他都内2店舗)
成長した作り手たち
「しいの実社」の大元の始まりは、目黒区五本木小学校ゆりのき学級に通う自閉症の親たちが、自閉症の小・中学校一貫教育の制度を願い、中学の設置を求めて発足した目黒もえぎの会。
当時子どもだった人も、今では欠かせない作り手に成長しました。
施設長の小平真理さんは「現在も沢山のご注文を頂いています。こうした製品を作ることが知的障害をお持ちの方の活躍場所となり、やりがいとなり、日々の生活をつくっています。
多くの方に製品を手に取っていただき、施設のことや知的障害をお持ちの方のことを知る機会となればありがたいです」と話されていました。
今回は織物などの作業場を見せていただきましたが、しいの実社ではこだわりの天然酵母パンも焼いています。ここで使われている天然酵母は、香りの良い野生酵母と麹菌を米と水のみで培養したもの。絶妙な温度管理を行うので、発酵を促す添加物を一切加えていません。風味のよいおいしいパンの出来上がり。
他にコーンクッキーなどのお菓子も作っています。(いろんな種類がありますよ)
パンやクッキーは「しいの実社」、「しいの実社 学芸大学スマイルプラザ」で販売しています。
お店の情報やその他「しいの実社」の情報はホームページで。