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似顔絵捜査員に描いてもらいました

戦略広報課です。
交番の掲示板などに貼られている犯人の似顔絵を見たことがあるでしょうか。あれは誰が描いていると思いますか。警視庁には似顔絵捜査員という人たちがいて、警察職員の中で絵の得意な人が志願し、講習を受けて似顔絵捜査員としても活動することができます。

似顔絵捜査員は、警視庁本部、地域の警察署、交番勤務のお巡りさんなど、様々な場所に勤務する警察職員が指定されています。

事件の被害者や目撃者から犯人の特徴を聞き、似顔絵を作成します。その絵をもとにして犯人を捜すのです。

ふつう似顔絵はモデルがいて、その人や写真を見ながら描くと思います。しかし似顔絵捜査員のすごいところは、情報を聞くことだけで作成していくことです。

さて


今回のミッション

「似顔絵捜査員にわたしの話す情報から友人の絵を描いてもらう」

です。

警視庁にやってきました。
本日、絵を描いていただくのは警視庁刑事部鑑識課写真資料係(似顔絵担当)の久原義弘警部補。
描いてもらうのはわたしの友人の男性Kさん。

記憶の形に近づける

まずは聞き取りです。
久原さんが和やかな雰囲気の中でもテキパキと詳細を聞いていきます。
などなど。

時々わたしに見せて、修正をします。
もう少し目を大きく、はっきりとした感じ、眉毛をもう少し上げて、などと伝えていきます。
この繰り返しで相手の記憶の形に近づけていきます。ふつう目撃者は犯人と接する時間が短いので記憶量も少ない。だからだいたい一時間程度で仕上がるのだそうです。

白黒の完成形がこちら。顔の輪郭や髪型、目の雰囲気、かなり似てる!びっくりです。少し離れたところから見るとそっくり!
本当に聞きとった情報だけでここまで描けるの??似顔絵捜査員恐るべし。

せっかくなので色も付けてもらいまして

出来上がり!パチパチ。

久原さんにインタビュー

Q どのような人の似顔絵を描くのですか?

犯人のほかは、身元不明のご遺体などです。 顔だけでなく着衣やバッグなど特徴のある物や後ろ姿なども必要に応じて描きます。 特徴のない人が一番難しいです。描いては修正する、を何度もします
拘束されたり、犯人と一緒の時間が長い強盗事件などでは、被害者が詳しく憶えていることが多い。だから修正も多いし描く時間も長くかかります。

Q 色は付けますか?

はい。髪や肌の色とか色があるとはっきりします。絵だけでパッと特徴がわかるように表現したいです。

Q 日頃心がけていることは?

事件発生直後なら犯人がまだ現場近くにいることもあるので、いち早く描いて捜査員や周囲に知らせたいですね。
また画力が落ちないように時間を作って練習しています。私は主に風景画や人物を描いたりします。
あとはいろいろな顔を見ておくこと。映画などでもつい顔を見てしまいます。
美術作品やネット動画の作品画像も参考になります。あとはマンガも。子どもが目撃する場合もあるのでマンガやアニメを知っているとキャラクターに例えられるので聞きやすいです。

Q どのような時にやりがいを感じますか?

それはやはり、作成した似顔絵をもとに事件が解決した時です

最近はAIを使うこともあるのでしょうか、とお聞きしたところ「AIは描く力がありますが、きれいに描きすぎてとことん表現してしまうのです。その絵に影響を受けて目撃者の記憶が操作されてしまう可能性があります」と久原さん。
なるほどなあ。。あいまいな部分の残る絵のほうが「あの人に似てるかも?」と目撃者の記憶に訴えやすい部分がありそうです。

人間だからこそできる仕事なのですね。
ふだんあまりじっくりと見てこなかった交番などの似顔絵。これからはじっくりと見てみようっと。