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本日は晴天なりダムびより

広報課です。

中央線→青梅線→バスでごとごと揺られて約2時間。着いたのはキラキラ光る湖面の奥多摩湖。風がビュービュー吹いていてすごく寒いのですが、一点の曇りなき青空で、まさにダム日和。奥多摩にある小河内ダムは国内最大規模の水道専用ダムって知ってました?(筆者は知りませんでした・・。)都内で使われる水道水の約40日分を蓄えることができるのだそうです。今回は奥多摩・小河内ダムからお届けします。

奥多摩の山の中に。ダムの大きさが実感できる谷側

さいたま市くらいの大きさ


小河内ダムは都心から約65キロメートル離れた奥多摩町の標高530メートルの多摩川上流部に位置しています。小河内ダムに流れ込む川の流域は奥多摩町、山梨県丹波山村、小菅村及び甲州市の4市町村にまたがり、面積は約263平方キロメートル。関東でいえばさいたま市くらいの大きさです。貯水池の最大水深は約140メートルもあります。
都の独自水源として、利根川水系の渇水時などにはダムからの放流量を増やして、都内の安定給水に重要な役割を果たしています。

小河内ダム建設前の写真 中央部の白い線は、ダムが建設される場所

50年経っても地震に強し


ダムに蓄えた水は、ダム直下の東京都交通局多摩川第一発電所などで発電に使用したあと多摩川に放流。小作取水堰と羽村取水堰で取水され、村山山口貯水池を経て水道原水として東村山浄水場などに送られています。
小河内ダムは、建設から50年以上が経過していますが、耐震性調査を行った結果、想定される最大級の強さの地震に対しても安全であることを確認しています。

ダム断面図

今回は小河内貯水池管理事務所の細井達暉さんに、ダムの中を案内してもらいました。

案内役の細井さんは入都1年目の新人さん

監査廊を探検


ダムの中には「監査廊」と呼ばれる通路があります。写真で見ると暗くてこわい感じですが、ここで定期的に計測や点検が実施されています。

地下4階にある監査廊。中は迷路のようで現場に入るときは必ず二人体制で点検などを行う
中はだいたい8度くらいでした。さむ~

監査廊の中にはダム内の漏水を計測する場所があります。
「貯水量の変化にあわせて増えたり減ったりしていますが問題になる量ではありません。昨年度も30年に一度の総合点検があり、ダムの専門家に確認してもらいましたが、問題なしとお墨付きをいただきました」

どでかいテストピース

「これはコンクリート製のテストピースといって、ダムを造ったときに同時につくったコンクリートです。10年に一度、破壊テストを行い強度を確認しています」
これまでのテストでは問題なしとのこと。

ワイヤーの位置を確認しているところ

次に細井さんが入っていったのは「下げ振り線観測室」。
「ダムの上部からおもりを吊り下げ、このワイヤーを使ってダムの傾きを計測しています。この顕微鏡のようなものでミリ単位以下の計測を行っています」
部屋の中にはピアノ線が下がっていて、それを顕微鏡のような機器でのぞきチェックします。とっても細かい作業ですが、ダムの傾きがないかどうか知る大切な確認です。顕微鏡のような機器の中は、小さすぎてさすがに写真が撮れませんでした・・。

ダム壁面。この中にさきほどの監査廊が。人が小さい・・

洪水対策にも協力

ダムの美しい風景。癒される~

小河内ダムは水道専用ダムとして水道局が管理していますが、令和元年10月の台風19号の水害を受け、国の方針に基づき多摩川水系治水協定を締結し、洪水対策に協力していくことになりました。
これまではダムが溢れないよう大雨の1~2日前から放流をしてきましたが、今後は3日前から放流を行う可能性も。晴天でも多摩川の流量が増加する場合があります。放流する際は職員によるパトロールやサイレンでの警告、さらにホームページやSNSで情報を発信し、多摩川に近寄らないようにと呼び掛けています。

現在、新型コロナウイルスの影響で、展望塔などの施設は閉鎖されていますが、ダムを見ることはできます。たまには都心を離れて広大なダムの景色はいかがですか。