「スマートニュース連携、やってみた結果」【#広報DX】東京都の新人が広報DXをやってみた結果(現在進行形)#6
東京都広報課デジタルポータルサイト担当です。
明けましておめでとうございます。皆様のおかげで、昨年は様々な出会いに恵まれ、思わぬ展開に発展しつつある今日この頃です。思えば#1の宣伝ツイートを宮坂副知事にリツイートされてから、#3の記事でホンモノの神降臨につながり、都民の皆様からもたくさんのご意見・激励の言葉をいただき、さらには国や区市町村も含めた様々な関係各者とつながりを持つことができました。まだデジタルポータルサイトは完成していませんが、かけがえのない財産を得た気持ちです。「意思あるところに道が開ける」ことを実感した1年でした。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回は「スマートニュース連携、やってみた結果」です。
●(今までの記事)【#広報DX】東京都の新人が広報DXをやってみた結果(現在進行形)マガジン⇒https://tokyo-metro.note.jp/m/m7455efe27b46
●デジタルポータルサイトプロジェクト詳細⇒https://shintosei.metro.tokyo.lg.jp/leading-project/leading-project-14/
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スマートニュース(SmartNews)をご存知でしょうか?ニュースアプリの一つですが、2年前の今頃、私はまだ自分のスマホにインストールしていませんでした。
2020年1月、都庁総合ホームページのCMS(※1)開発業者が開催する自治体向けセミナーで、スマートニュース連携の話を聞く機会がありました。私は当時の「都庁総合ホームページ担当」として参加しました。
※1:CMS(コンテンツマネジメントシステム):ホームページのコンテンツを管理し、比較的大きなサイトの運用を容易にするシステム。ページの追加をすると、各ページにメニューリンクやパンくずが自動でついたり、更新履歴が残ったり、編集できるユーザの権限を制御する等、様々な機能がある。
「プレス資料をホームページ掲載するのと同時にRSS2.0(※2)を書き出すようにCMSを改修すれば、自動で都のプレス資料をスマートニュースに連携表示できる」という話は、前の年に上司のところに来てはいたものの、その時はまだ具体化しないままの状態でした。
この自治体向けセミナーの場でたまたま、既にスマートニュース連携を導入している自治体担当者さんの話や、都庁総合ホームページのCMS業者さん、スマートニュースの担当者さんの話を同時に聞くことができ、いつ何をどうすればいいのか、費用対効果や予算感、運用の負荷等が明確になったので、一気に実現に向かいました。
※2:RSS(Resource description framework Site Summary):機械で読みやすいようにサイトの概要を配信するデータの形式の一種。決まった様式のXML言語(※3)で記述される。W3C(※4)が提唱している形式で、ニュースサイトの更新通知やヘッドライン配信等に利用される。
※3:XML(Extensible Markup Language):HTMLの拡張版で、W3Cが策定した文書構造の記述言語のひとつ。文書内のデータに対して,ユーザーが独自の属性情報や論理構造を定義できる。データ記述用の言語で、データの再利用がしやすい。
※4:W3C(World Wide Web Consortium):ワールド-ワイド-ウェブのブラウザーやサーバーについての技術に関する標準化を推進する団体
ちなみに、スマートニュースさんに記事を掲載する方法については、こちらに公開情報があります。
もともと、利用していたCMSにRSSを書き出す機能の素地はあったので、CMS改修に多少の費用は要したものの、記事作成の手間はそれほど増やすことなく、スマートニュースと記事データ連携をすることができました。また、「東京都チャンネル」に「東京都公式」の特設コーナーを作ることができ、東京都のホームページを普段見ないような一般ユーザにも、都のプレスを届けるルートが開拓できました。
スマートニュースをインストールされている方は、
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/07/03/04.html
を参考に、是非「東京都チャンネル」を追加してください。東京都の主要なプレス記事を、スマートニュースから受信することができるようになります。
その後、同じRSS2.0のフォーマットを利用して、ヤフーニュースとも連携することができました。都庁総合ホームページでは、こちらのページでRSSを公開しています。プレス資料のホームページを更新すると、新着200件が自動的に掲載されるようになっており、各ニュースサイトは定期的にRSSの記事を取り込んで自サイトに連携表示することができます。XMLは機械が読みやすいようになっているので、HTMLと比べると人間が読むにはちょっと見づらい部分もあります。
ヤフーニュースには、東京都公式の特設コーナーはないので、どの記事が都庁総合ホームページから連携された記事かを自分で探すことは難しいのですが、ヤフーニュースからの流入ユーザが一定数確認されているので、連携表示されていることは確かです。スマートニュースとヤフーニュース両者から都庁総合ホームページに流入してくるユーザ数を合わせると、先月12月で全体流入の3パーセント以上あります。流入してきたのが5万ユーザ程度だったとしても、ヤフーニュースやスマートニュース側でこちらのホームページに遷移せずに記事を見てくれた人もいるはず(スマートニュースだけで毎月2万以上、過去1年で35万件の記事閲覧)だし、今まで都のプレス情報に触れることがなかった層のユーザに届けることができるようになったのは、とても良かったと思います。
毎回、こちらのnoteで都民の皆様にアンケート回答をお願いしていますが、その中の自由コメント欄でも、「スマートニュース等にニュース配信する取組が役に立っている」というご意見が複数ありました。運用側で変更したのは、プレス記事を登録する際に、スマートニュースに連携する・しないを選択し、スマートニュース用に画像を1枚登録するようにしたことです。たったそれだけの手間が増えただけで、これだけの成果があげられたのですから、「データファースト」な仕組みで「ワンソース・マルチユース」を実現するデータ連携は、大きな力を発揮することが良く分かります。
スマートニュースには、個人の興味やアクセス履歴、居住地域や性別等によって上位表示される機能があると推測されます。私が赤い服の金髪芸能人のニュースを見ると、その人に関連するニュースが次々と表示されるようになるので、AIか何かで学習しているのだと思います。そして、興味のあるチャンネルのタブ表示を選択でき、定時になると興味ありそうなニュースがプッシュ通知されます。プッシュ通知でどの記事を押すかによって、またレコメンドの精度が上がっていくように思えます。精度が上がれば、お役立ち感も上がるので、スマートニュース連携のテストのために2年前に初めてインストールした私も、今では昼休憩についつい見てしまっています。日本中のニュースの中で、私が興味を持ちそうなニュースをレコメンドしてくれる機能は、我々が目指す「伝わる広報」の参考になります。
こうして都庁総合ホームページは、スマートニュース連携・ヤフーニュース連携により、ずっとやりたかった「必要そうな人に必要そうな情報を届ける」ことが少しできるようになりました。
今後も、こんな風にRSSやXML、JSON(※5)等を利用した連携先をもっと増やしたいと思いますし、デジタルポータルサイトもRSS連携をはじめとしたデータ連携をしていくことになると思います。ただし、現状RSS2.0に対応しているのは、都庁総合ホームページではプレス資料部分だけです。他局の対応状況や連携状況はこれから本格的な調査をしながら、進めていくことになるかと思います。何が出てくるか、楽しみ&怖いです。
※5:JSON(JavaScript Object Notation):XMLと同じく、データ記述言語の1つ。
うまくいけば、デジタルポータルサイトで各局から集約した情報を、各ニュースサイトに連携しやすい形に成形して展開し、ユーザの皆さんが普段利用されているニュースサイトやアプリにこちらから出向いて「お届け」することができるようになるかもしれません。前回、「ポータルサイト」というものに過度な期待はするべきではない、と釘を刺されたお話をしましたが、確かにその通りです。ポータルサイトとしていったん集めたデータを、広く展開することも視野に入れて、データの型を揃えたり、連携しやすい形に成形したりしていく必要があると思っています。
「みんなが集まるポータルサイトから、みんなのところへ出向いていくデータポータルへ!」皆様からいただいたアイディアを活かし、デジタルポータルのあり方を検討していきます。
・・・次回「「My TOKYO」シンプル版つくってみた」へつづく
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