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みてみて、ラブリー遺跡

戦略広報課です。
小学生のころ遠足で東海地方の古墳や遺跡に行ったことがあります。当時はあまり興味がなく、正直あまり覚えていないのですが、大人になった今だと「遺跡行ってみたいなあ」と思うことがあります。
遺跡好きの人も結構いるようで、好きな理由として「壮大なので面白い」「歴史を感じる」などなど。推し土器、推し土偶などを自分のインスタなどで取り上げている人もチラホラ。

意外にも都内にたくさん

ところでみなさん、遺跡は地方にあると思っていませんか。実はこの東京にも遺跡がたくさんあるのをご存じでしょうか。
東京都の「遺跡地図情報インターネット提供サービス」では、遺跡のあった場所が地図上に赤くマークされています。見ると都内は真っ赤。遺跡だらけなのです。
新宿や六本木などの都心部にもたくさんあるのがわかります。

 【注】東京都教育委員会所蔵

大事な遺跡を残す役


しかしご存じの通り、東京は巨大な開発地域でもあります。マンションや商業施設の建設なども多いです。
遺跡が開発によって失われてしまう前に、記録という形で保存するため遺跡の発掘調査が行われます。そしてその貴重な調査成果を保管・活用する施設が必要です。
今回取材した多摩市にある東京都立埋蔵文化財調査センターでは、多摩ニュータウン開発に伴う発掘調査で出土した、多摩ニュータウン遺跡群の出土品を中心に収蔵・展示しています。
案内してくれたのは施設の指定管理を受託する、東京都埋蔵文化財センターの塚田清啓さん。

多摩のお宝たち

多摩ニュータウンは稲城・多摩・八王子・町田の4市にまたがる総面積3,000ヘクタールという広大な地域です。その範囲には約1,000カ所の遺跡があり、まさに遺跡の宝庫。センターでは1966年から40年かけて770カ所の遺跡を発掘調査しました。

発掘作業の様子(写真提供:東京都埋蔵文化財センター)

展示ホールには常設展示と企画展示があります。
常設展示では、多摩ニュータウン遺跡群の調査で出土した、旧石器時代から近世(江戸時代)までの考古遺物(出土品)を陳列し、多摩ニュータウン地域の歴史を学ぶことができます。

「丘陵人(おかびと)の肖像」と呼称される土器片。多摩ニュータウンNo.72遺跡(八王子市堀之内)から出土。(各遺跡にはNo.がつけられている)
時代は縄文時代中期前半。
お面のようですが有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)の装飾として貼り付けられていたものと考えられています。

多摩ニュータウンNo.471遺跡(稲城市若葉台)から発掘された、縄文時代中期前半の土偶。「多摩ニュータウンのビーナス」とも呼ばれています。イギリスの大英博物館に展示されたことも。ラブリーなフォルムですな。

左端下の大きな石は敲き石(たたきいし)と呼ばれ、ハンマーのように使ったと言われています。先が鋭利な石の道具を作るのも、石で作ったと推測されます。

企画展示は年に一度開催。今年度は多摩ニュータウン遺跡群の中から、過去に新聞で取り上げられた調査成果をピックアップし、新聞記事と出土品を並べて遺跡の紹介を行っています。

ひとつの遺跡から土器がこれだけ多く、当時使われていた状態にまで復元できることはめったにないそうです。

案内人の塚田さん

推しの体験コーナー


展示と体験と遺跡庭園、3つそろっているところは全国でも珍しい。ここの見所です」と塚田さん。
それでは塚田さん推しの2つ目、体験コーナーに行ってみました。

「まいぎり法」という方法で火起こし体験。両手で上下に動かす板の動きが軸棒の横回転に変わり、軸棒先端に強い摩擦を起こして火種をつくるという仕組み。昔の人たちはこうやって火をつけていたのか。。アウトドアなどでやってみたいなあ。

破片から土器を復元させる立体パズルが人気。

縄文土器といえば「縄」の文様。粘土板に縄の文様をつけてみました。

来館してすぐできる体験コーナー以外に、予約制の体験教室もあります。
縄文時代の装身具である勾玉(まがたま)や耳飾りづくり、縄文の糸づくり、布づくりなどが体験できます。

「滑石(かっせき)」という軟らかい石材を使い、勾玉(まがたま)か、玦状(けつじょう)耳飾り(中央の丸みのある3つ)を作ります。こんなの作れるの?やってみたい~

足の下に遺跡・フシギ

最後は塚田さん推し3番目の遺跡庭園「縄文の村」。屋外にあります。

ここは多摩ニュータウンNo.57遺跡を保存・活用する目的で整備されました。No.57遺跡は旧石器時代から中世までの複合遺跡です。縄文時代前期の住居跡が2軒、中期の住居跡5軒、落とし穴などが発掘され、集落跡であることがわかりました。
遺跡の南側半分は調査を終えた状態のまま、盛り土をして「縄文の村」の地面の中に保存されています。
この足の下に遺跡があるんだーと思うと、なんだかとっても不思議な気持ち。

縄文時代前期(6500年前)の竪穴住居。当時を想像して発掘調査時の位置に復元されました。中は20平方メートル。いまの1LDKくらい?5~6人は住めたのではと考えられています。昼間でも中はかなり真っ暗。すきまからほんの少し光がさす程度です。

復元された3棟の住居内では防虫・防腐をかねて、不定期で火焚きを行います。火焚きのスケジュールはホームページに載っています。

旧石器時代から積み重なってきた歴史を展示している東京都立埋蔵文化財調査センターは、年末年始や臨時休館日などを除きほぼ年中無休で開館。利用は無料です。
令和の現代を少し離れ、太古を感じてみませんか。

東京都埋蔵文化財センター


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