「伝わる広報」目指してます
戦略広報課です。
「東京都」と言えば、新宿にある都庁舎を思い浮かべる方が多いと思いますが、東京都ってどんな仕事をしているのかあまり意識したことがないという方も多いかも。
各部署の職員は、都民や事業者の皆さんに知っていただきたい行政サービスや取組を、どうしたら伝わるのだろうと日夜考えています。
その広報の成果をみんなで共有しようと、このたび「伝わる広報大賞」を新設しました。受賞の対象は2023年1月から12月までに広報活動したものです。
庁内からの応募は126件。1次審査では、24件が通過し最終審査に臨みました。
(通過した作品の詳細を知りたい方は以下HPをご覧ください)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/koho/taisho/2023/02.html
審査員は山本高史さん(株式会社コトバ代表・関西大学社会学部教授)、浦野有代さん(月間「広報会議」編集長)、西村剛さん(株式会社I&SBBDO、シニアクリエイティブディレクター)
そして2月15日、いよいよ「伝わる広報大賞」表彰式。さてさてどんな作品が受賞するでしょうか。
それでは各部門の受賞作品からいくつかご紹介します。
クリエイティブ賞(静止画部門)
ポスターやリーフレットなど、ユニークな切り口で話題になった取り組みに
「ちょっとおでかけ秋の夜長の自然文化園(夜間開園)」の集客力アップの広報 公益財団法人 東京動物園協会(建設局)
昼とは違う井の頭自然文化園・夜の動物たちの様子を観察してもらい、コロナの影響で減少した入園者を呼び戻すことが狙いの一つ。これまでの広報物のデザインを活かしつつ、夜間開園をイメージした制作物を園に勤務するデザイナーが作りました。このデザインを使ってXなどのSNSを駆使したところ、二日間の入園者数が過去最高を達成しました。
井の頭自然文化園のコメント
これまでの園のデザインとの統一感を表現しようと努めました。小さな子どもでも利用しやすい動物園として、また日本に生息する生物の保全に取り組む園としてのデザインの一貫性を崩さないよう気を配りました。
夜の世界を描くため少ない色数にしながらも、パッとみた時にイベントタイトルと動物園のポスターであるという事を認識してもらえる、インパクトがあるものにしたい、というのがデザイン上の大きな課題でした。
その際に生き物の配置が難しく、インパクトに欠けてしまう点に苦労しました。植物や文字を裁ち落として、紙面にめいっぱいイラストを入れることで、みなさんに足を止めて見ていただけるようになったと思います。
またPRをするために武蔵野市・三鷹市の周辺施設を職員がまわり、ポスターの掲示をお願いしたり、地元の広告媒体も活用しました。
審査員のコメント
このポスターをパッと見たときにすべての情報がわかるし、切り口としても素晴らしい。 文字がなくても夜間や動物の話だと分かる素晴らしいビジュアルです。リピーターの獲得にもつながったと思います。
インハウス制作・企画賞
少ない予算または予算がない中、職員のアイディアによって実施され、斬新・特筆すべき成果があった取組
「学びたいに応える学校」都立浅草高等学校 紹介動画
(教育庁)
都立浅草高等学校は昼夜間定時制・単位制・普通科の高等学校ですが、入学応募者が少ないことが悩みでした。浅草高校の魅力を知ってもらい「選ばれない学校」から「選ばれる学校」への起死回生を図りたいとの思いがありました。学校の魅力を伝える動画制作のために教員や生徒が協力し、予算が全くない中、撮影はスマホとドローンで行いました。
浅草高校のコメント
学校パンフレットの焼き直しのような動画にはしたくない。映画の予告編のようなストーリー性や映像の奥行き感を大切にし、実際に学校に行って見てみたいと思える、そんな動画を目指しました。インタビューには時間をかけ生徒の普段通りの言葉をそのまま使いました。ドローンの飛行許可申請、肖像権の確認作業、撮り直しやカットの差替えを何度も行い、完成までに4か月かかりました。アイディアとこだわりによる受賞だと思います。
審査員のコメント
生徒と職員だけでまとめたのが一つの成果。「中学では勉強についていけなかったが、ここでは学ぶことができた」という学生のインタビューを引き出したのが最大のポイントだと思います。保護者にも響くでしょう。
自分が中学生だったらこの高校に行きたいと感じました。
救急車ひっ迫アラート(東京消防庁)
令和5年の救急車の出動件数は、過去最多を記録した令和4年の件数872,075件を4万件以上も上回る、917,472件(速報値)となっています。
現場から遠い救急車の出場が増えると現地への到着が遅くなり、救命ができない可能性も高まります。
令和4年の夏、熱中症や新型コロナなどによる救急出場が増えました。そこで救急隊の出場率や搬送人数などの数値を都民へ発信しましたが、効果はいまひとつ。
出場率や搬送人数などの数値は都民にとって馴染みがなく、危機感が伝わりにくかったためと考えられます。
この反省を活かし、職員が「救急車ひっ迫アラート」というキーワードを作り、危機感を分かりやすく表現。印象に残す戦略を立てたのです。
ひっ迫している救急出場体制の現状を理解してもらい、緊急性のない救急車の要請について考えるきっかけを作りました。さらに、不要不急の電話は途中で切ることをX、ホームページ、区市町村の防災メール、メディアなどで伝えました。
その結果、119番通報が混みあっていることを周知したX投稿閲覧回数が352万回。「救急車ひっ迫アラート」認知率(東京都LINEアンケート調べ)は、46.9%となりました。
消防庁のコメント
Xでの発信は関心が薄れないよう、飽きられない内容を考えることが大変でした。特に写真の素材が少なかったので、出場中の救急車を撮るために、カメラ片手に都内を探し回ったりも。真夏の炎天下の中でとても大変でした。また報道の方に災害救急情報センターでの実際の出場状況を見てもらったり、119番通報の音声を聞いてもらったりなど、リアルな現場を伝えたことで、多数のメディアに取り上げてもらえました。改めてメディアリレーションの大切さを感じました。最後に一言、言わせて下さい。引き続き、救急車の適時・適切な利用にご協力をお願いいたします!
審査員のコメント
「救急車ひっ迫アラート」という言葉を使い、不要不急の電話は途中で切ることを丁寧な広報で伝えています。都民が自発的に発信してくれる点も期待できます。 救急車が不足するということを報道任せではなく、危機感と覚悟を持って自ら発信している点を評価します。
さてお待たせしました。いよいよグランプリの発表です。
伝わる広報大賞(グランプリ)受賞は
「人権週間2023」(総務局・政策企画局)
チームでがんばりました。(」´□`)」 オメデトウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!
「人権週間2023」とは、東京で働き、暮らす人すべてが共に交流し支え合う共生社会「インクルーシブシティ東京」の実現に向けた人権に関するキャンペーンです。「人権週間を知ってもらう」から「人権を考えるきっかけづくり」へコンセプトを変えて広報を展開。6つの身近な人権の事例を取り上げ、それぞれの動画を作成。6人の個性的なイラストレーターや声優を起用し、幅広い世代向けの広告を制作しました。人目をひくデジタル広告やSNSを活用し、その後の調査で「動画を見て印象に残った」人が58.1%という結果が出ました。
総務局からのコメント
これまでは「人権週間」の存在そのものを知らせようとしていました。今回は政策企画局の皆さんと議論し、都民の方々が人権を身近に感じ、自分事として考えるきっかけになるような内容に、と考えました。そこで見た人や聞いた人が「ハッ」となるようなフレーズや、日常生活で私たちが気づかない、何気なく見過ごすような事例を検討しました。
また役所的な表現を使わないように気をつけました。「差別をやめましょう」「○○はダメ」などではなく、都民目線で当事者に寄り添う言葉を考えました。その際、障害者施策や子供施策などの広報物で使用しているフレーズを確認しつつ、私たちが考えた新しい表現を織り交ぜるための調整に苦労しました。
審査員からのコメント
6つのテーマをそれぞれ違うイラストレーターや声優を起用することで直感的に伝えています。人権という難しい課題をイラストで表現したことがアプローチとしてよかったです。
東京都の「伝わる広報」はまだ始まったばかり。課題もありますが、みなさんに伝わる、わかりやすい広報を目指していきます。みなさん、これからの東京都の広報にご注目ください!
伝わる広報大賞