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「クッキーは、サードパーティからゼロパーティに」【#広報DX】東京都の新人が広報DXをやってみた結果(現在進行形)#5


東京都広報課デジタルポータルサイト担当です。前回「早くも新しい出会いの予感」と書きましたが、お会いしてみてビックリ、なんと#3で勝手に紹介させていただいた、ユニバーサルメニューに関連の深い団体の幹部の方でした!

なんとホンモノの神降臨★! いいのホントに?・・・なんか、ユーチューバーみたいな展開になってきましたよ?!(ドキドキ)

noteの「中の人」です、と自己紹介させていただきました。持参された本が、まさしく私が買おうとしていた本『Universal Menu わかる!つたわる!行政サービス情報整理術』で、「ええ~、この本買おうとしてたの、いただいていいんですかぁ~?」とは言ったものの、そいえば公務員だからモノもらうのNGでした(忘)。嬉し過ぎて舞い上がりすぎ (≧ڡ≦)ゞ⌒☆てへぺろ ...早速、購入させていただき、先日届いたので、今半分くらい読みました。

ユニバーサルメニューの哲学や、実は東京都も保健・医療関係のシステムでユニバーサルメニューが使われている事や、今後の展開について、詳しくお話伺いました。また別の機会にこちらでご紹介したいと思います。

●(今までの記事)【#広報DX】東京都の新人が広報DXをやってみた結果(現在進行形)マガジン⇒https://tokyo-metro.note.jp/m/m7455efe27b46
●デジタルポータルサイトプロジェクト詳細⇒https://shintosei.metro.tokyo.lg.jp/leading-project/leading-project-14/
●#ご意見募集 ⇒https://forms.gle/fpS9WG6MpFTXXa9b6

さて、本題。「クッキーは、サードパーティからゼロパーティに」。
※注:コロナのせいで、年3回開催していたスイーツのパーティがゼロパーティになった(泣)とかいうパリピの話ではございません。いたって真面目な行政システムの話です(キリッ)。

前回#4「行政のホームページからレコメンドされたら気持ち悪い?」の続きです。

レコメンドの気持ち悪さの原因は?

レコメンドの気持ち悪さの原因は、何でしょうか?気持ち悪いのはどんな時?

●自分が意識せずアクセスした、いろんなサイトの情報から類推されて、「きっとこの人は50代男性で釣りに興味を持っている」とか判定されて、釣り道具の広告を表示されたりするのが、監視されている感があって気持ち悪い。

●駅の自動販売機で、子ども達が前に立つと炭酸飲料が勧められて表示されるのに、私が立つとお茶やお汁粉とかが勧められてムっとする(子ども達は爆笑)・・・あの自動販売機どこにいっちゃったんでしょうね?

#3参照:温泉宿を予約した日に航空券を買おうとしたら旅行の日が既に入力されているレコメンドをされて「こいつら・・・裏でつながってるな!」と勘ぐった。温泉宿を予約したので名前も住所も全部共有されているような気分になった。サイト内で何回も氏名を入れるように求められたら逆に面倒で腹立つが、別のサイトなのに情報共有されていたらなんか怖い

自分が意図していない、意識していない、許可していないところで見えない糸が繋がってレコメンドされるのに抵抗感があるようです。ひとつひとつの情報はたいしたことなくても、集めれば個人が特定できるような気がするし、裏でつながっているなら個人情報が漏れているような気分にもなります。

閲覧履歴を利用することへの抵抗感

ここで、前回お願いしましたアンケートについて、「閲覧履歴の利用への抵抗感」の中間報告として結果グラフを公開します。

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東京都が、東京都サイトの閲覧履歴情報を利用するのは、おおむね許されているという結果になりました。ただし、東京都が別のサイトの閲覧履歴、いわゆるサードパーティの閲覧履歴情報から類推して、例えば「この人は多分、子育て中だな」と判定して「親子向けイベント」の情報を上位表示させる、といったレコメンドをするのには抵抗感があるように見受けられます。

都がサードパーティクッキー情報を利用したからといって、都の閲覧履歴が他のサイトで利用されるわけではないはずですが、「ひもづけ」が行われている以上、「本当にそうなのか?」と聞かれたら・・・その仕組みのソースを見ているわけではないのでなんとも言えず、そこは公開されているポリシーを信じるしかありません。

GDPR(EUの一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、世界的なサードパーティクッキー利用規制の方向性の中、デジタルポータルサイトでサードパーティクッキーを利用するというのはどうなんだろう・・・?

2極化するニーズの中で

グラフから読み取ると、「同意があれば便利だし良しとする派」と、「抵抗あるからやめてほしい派」に2極化していることが分かります。

デジタルポータルサイトでは、自ら「高齢者向け情報」「子育て情報」など選択して閲覧できるようにしたいと考えています。自分で選べばファーストパーティどころかゼロパーティです。自分の属性を無意識に提供するのではなく、意識的な検索や選択で、欲しい情報にたどり着けるような仕組みづくり(データ構造づくり)をしていきます。特に、デジタルポータルサイトベータ版の簡易ポータル立ち上げ当初には、「便利さ」の認知度がゼロからなので、個人情報提供のハードルは低く設定する必要があります。IDログイン機能をつけたとしても、それに見合う便利さを認識してもらうのは難しいので、ログインしなくても使えるような設計になるでしょう。

例えば、これからモックテストをしようとしている簡易ポータルの白黒デザイン(仮)はこんな感じです。

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最初に、自ら興味のある情報を選択してもらって、自分に合う情報が上位に表示されるような仕組みを検討しています。これなら、サードパーティの力を借りることなく、ある程度のレコメンドができます。

でも毎回検索条件を入れるのは面倒なので、検索履歴を保持するとかは必要ですよね・・・?そうするとファーストパーティクッキーやローカルストレージなどを利用するか、IDログインを利用するか。クッキーやローカルストレージで情報保持できる期間も、ブラウザによってだんたん短くなってきたりもしていますし、いつまでも頼ってばかりもいられないので、ゆくゆくはIDログインをしていかなければならないかもしれません。

また、自ら選択して表示される情報だと、「無意識にある潜在的なニーズ」や「シーズ」を掘り起こして上位表示することはできません。例えば特にお悩みなどない高校生が閲覧した時に「若者お悩み相談サイト」を目にして友達に教えてあげるとか、そういう広がりは見込めなくなります。さらに行政側で「この親子イベント情報は是非、小学生のお子さんをお持ちの方に届けたい!」などのピンポイント広報をしたくても、自ら「小学生を子育て中」と申告していない人に配信することはできなくなります。能動的に行動してもらわなければ、ピッタリの情報をお届けできなくなる。そうするとやはり、同意を得た上でサードパーティクッキーを利用するか、他民間サイトのIDを利用して情報利用させてもらうか・・・?

もっと連携が進んだら、都の申請系システムやマイナポータルと連携して、行政サービスを発見したらそのまま申込ができるとか、ログインすれば前回の申請情報から次回の申請のレコメンドをするとか、プッシュ型の行政サービス提供が可能になるかもしれません。

便利さとのトレードオフで、気持ちよく情報提供をしていただき、しっかり情報管理していくしかないのですが、デジタルポータルサイト側としては、なるべく個人情報を保持したくないのでどこかの堅固なシステムと連携して管理をお任せしたいところ。2極化している意見の中で「ちょうど良い線引き」や「連携先」が悩むところです。

アンケートのコメント欄でも、「ヤフーのアカウントでログインして個人情報引っ張ってくるとかは民間のサイトではもはや常識。ぜひ東京都も率先してやってもらいたい。」というご意見もあれば、「東京都のホームページを閲覧するのに、上記(年代、性別、未婚)のような情報を取得したいと考えていることにびっくりしました。ちょっと不快に思いました。」というご意見もあり、両極端な傾向があります。どうすれば安全・安心で便利なちょうど良い塩梅のサイトになるのか、皆さんからのご意見もふまえ、慎重に考えていきたいと思います。

ニーズが2極化してるなら、システムも2極化しちゃう、という手もあります。ログインなしのゼロパーティで利用できるカテゴリ表示や検索機能を提供しつつ、ログインすればピッタリな情報をレコメンド提供したりプッシュ通知するという2本立てのシステムにするとか。(自分でどんどんハードルあげてますね。夢の話なので好きな事言っちゃいます!)

レコメンドも進化する

ここでちょっと視点を変えたレコメンドの話。個人の属性にレコメンドするのは気持ち悪いかもしれませんが、行動パターンに応じてレコメンドするってのはどうでしょう?この人は多分引っ越ししたい人だからこの記事をオススメ、とか。都庁内の動きでパターンがつかめるほど特徴が出れば良いですが、データが集まって適切なレコメンドができるようになるまで初期は苦戦するかもしれません。でもやってみないといつまでもデータはたまらずAIは賢くならないので、卵が先かニワトリが先か

あるいは、記事の関連性から、レコメンドするのはいかがでしょう?去年の同じイベントとか、同じ部署が出している記事とか、キーワードのかぶり感とか。記事の関連性を誰がどう判定するか、AIでできるのか、は未知数ですが、行政IDがあればできそうな気もします。

クッキー包囲網が広がる中で、レコメンドやパーソナライズもこんな風に、新たな技術が出てきそうです。どんな技術であろうとも、ちゃんと、ユーザが理解して、選択して、同意して、同意を取り消す等のコントロールができるパーソナライズを、したい。とにかく、都が発信する、受け取り手によっては「お得な情報」を、お得だと思う人に届けたい。
そんなポータルサイトをつくっ・・・・・え!アンケートにこんなご意見が。

若い世代になるに従い、「ポータルサイト」という概念がない。
10代20代ではgoogle検索さえ行わず、インスタやツイッターから直接行動に移る。
「公式サイト」は必要ではあるが、これに頼ることなくあらゆる小さなコミュニティーに突き刺さる情報を、最適な媒体(SNSをはじめ新聞やTVも当然必要)を使って発信が必要。
これから構築するにあたり、「ポータルサイト」というものに過度な期待はするべきではない。

ガーン!確かに。デジタルポータルサイトでいくら情報発信しても、サイトに来てもらう事を考えていたらダメで、こっちから情報を皆さんの普段づかいのSNSにピンポイントでデリバリーしていかないと届かない。どうやったら届くかな?「届け~!この想い!」

・・・次回「スマートニュース連携、やってみた結果」へつづく

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