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「また学校に行きたいナ」浅草高校に来てみて~

戦略広報課です。
先日、戦略広報部の企画した「伝わる広報大賞」でインハウス賞を受賞した都立浅草高校。予算がさけない中で、職員と生徒が協力して学校をPRする動画を作成。その活動が評価されました。

悩みがありました・・


浅草高校の入試は一次募集が前期と後期に分かれていますが、そのことを知っている人はあまり多くなく、入学者選抜倍率の低いことが悩みの種でした。なんとかして学校の知名度を上げたい、と昨年から先生と生徒が協力して動画を作り、配信しているのです。この動画のクオリティがすごい!こんな動画を作っている浅草高校を見てみたい、と思い立ち、取材に行ってきました。
(インハウス賞:少ない予算又は予算がない中で、職員のアイディアにより広報を実施し、斬新な発想、特筆すべき成果があった取組を表彰)

浅草高校の最寄りは浅草駅。都心なので限られた敷地を活かすための9階建て

「また学校に行きたい」


浅草高校は三部制・単位制が売りです。
三部制は一日に12時間の授業を4時間ごと3部に区切っています。
その中で自分の通学しやすい時間帯を選び、授業を受けるのです。入学した部で一日4時間の授業を受けると4年間で卒業することになります。3年間で卒業したい、という場合は、他の部の選択科目を受け、1日に受けるコマ数を増やすことも可能です。
昨今の日本の学校では、不登校の問題が深刻化しています。
文部科学省の令和4年度の調査によると、小・中学校における不登校児童生徒数は全国で計約30万人東京都の同年の調査では約27,000人。いずれも増加傾向にあります。全国も東京も不登校の理由で一番多いのが「無気力・不安」です。ほかに親子関係や友人間での問題、いじめなども挙がっています。
ただ、小学校、中学校と不登校だったとしても、また学校に行きたいと思う生徒も大勢います。

入ってみてどうですか?


生徒会委員で高校3年生の長友麗愛(れな)さんと羽毛田(はけた)ちさとさんに高校に入学したきっかけなどをお聞きしました。

長友さん(左)と羽毛田さん

長友さんは美容系の専門学校に通っていましたが、途中で何をしていいかわからなくなり、普通高校に行こうと浅草高校に入学しなおしました。
羽毛田さんは朝が苦手で起きられず、中学2年ごろから不登校になってしまいましたが、三部制で昼間から通える浅草高校に入学しました。

入ってみてどうですか?と聞くと二人同時に「楽しいです!」
長友さん
「はじめは友達が一人もいなかったけれど、いまは仲の良い友達ができました。定時制と全日制だと全日制のほうがメジャーに見えますが、全日制の中で成績が悪いより、定時制でいい成績を上げたいと思っていて、それがモチベーションになっています」
羽毛田さん性格が明るくなりました。周りの友達も優しくて明るい。自分も行動力がついて変わったなと思います。途中でもう無理かなと思ったこともあったけれど、これまで頑張ってきたことが無駄になってしまう、もう少し頑張ろうと思い、続けてこられました」

この学校のいいところは?


羽毛田さん「三部制、単位制であることがとても助かっています。1、2年次に必修を取り、単位も取れたので3年の今は授業数も少なくてすごく楽です」
長友さん「さっき話したように、わたしははじめ、クラスで友達ができなかったです。普通の学校はクラス単位で動くので、クラスで友達ができないとつらい。でもここは単位制なのでほかのクラスの子と仲良くなれるところがいいです」
「あと、おしゃれが好きな子は私服で登校できます。メイクもピアスもOK。派手にしても周りも気にしないです」
ただし髪色だけはカラー禁止。「自分の髪色を保ちなさい」という校則なのだそうです。

将来はどうするの?


長友さん保育士の学校に進学しようと思っています。でも本当は化粧品の開発や研究をしてみたいんです。わたしは化粧品に使われる色素のアレルギーになってしまったんですが、アレルギー対応のコスメにかわいい色がなくて。だからアレルギーに対応した化粧品の開発とかをしてみたいです」
羽毛田さん環境保全の学校に行きたいと思っています。緑や自然が好きなので森林破壊や環境汚染などを防ぐための勉強をしようかなと。でもわたしも本当はバイオの研究とかしてみたいんですよね。ただ理系の学校は入るのも大変なので自分にあった学校に入って樹木医になりたいなと思っています」

どんな人に薦めたい学校?


長友さん朝起きられない人にいいと思います。これまでの定時制だと授業は夜になってしまうけど、ここは昼間の授業もあるから」
羽毛田さん「中学のとき不登校などで勉強が遅れてしまった人には、1年のときにトライゼミという中学の勉強の復習のクラスがあります。わたしもそのおかげで遅れを取り戻すことができました」

校内の自販機が安い。ミネラルウォーター40円は大人気!
温水プールが地下に

羽毛田さん「体育の授業ではいくつかの候補の中からやりたい種目を選べます。いま水泳を選択していますが、少人数のクラスで話したこともない他のクラスの子と仲良くなれて楽しい。あと、プールが地下にあって、自分は日焼けしたくないのでとてもいいです」
プールは区民に開放される期間もあります。

楽しそうなお二人

いつも生徒会で一緒ですが、お互いのことで「知らないことも多かった」というお二人。個性は違いますが、二人ともそれぞれ学校生活を楽しんいる様子で、聞いているこちらも嬉しくなりました。

部活動もがんばってます


次は部活動の様子を見に体育館へ。
浅草高校は部活動が盛んです。いま28の部活、同好会、サークルがあります。全国大会(全国高等学校定時制通信制体育大会)に出場する運動部もあり、今年は男子バスケが都大会で準優勝を獲得。全国大会に出場します。文化部もコンクールや大会で入賞しています。

二人はバトミントン部
バレー部のみなさん。週末は大会の予選を控えていました。みんないい笑顔だ~

取材後、女子バレー部は都大会で優勝!次は全国大会です。すご~い、パチパチ。

高校3年生の牧野さん(左)と谷さん

二人とも「とりあえず勝ち上がり7月の大会で優勝したい」。牧野さんは卒業後、自動車整備の資格取得を、谷さんは大学進学を目指しています。「毎日楽しい。自由な感じがいい」と谷さん。「ここは体育祭など行事も多くて部活でもやりがいがある。勉強以外にも楽しめていい3年間でした」と牧野さん。
その体育祭がまたすごい盛り上がりで楽しそう。下の動画を見ると様子がわかります。ちなみにこの動画を浅草高校の方々が作成しています。

体育祭の動画
体育祭のショート動画

先生はどう思ってる?


縁の下の力持ち。学校にはこの方々の存在が欠かせません。先生方にもお話を伺いました。

左から高杉さん、旭さん、そして今回校内を案内してくださった後藤さん。「浅草高校の良さは?」の質問に対し、まず「生徒が素直!」と満場一致

高杉さんと旭さん、お二人とも前任は全日制の学校で、浅草高校は6年目。世の中の事情も変わり、教育の方法も変化している、指導方法も変えないといけない、と言います。
高杉さん「ここにはいろいろな生徒がいます。強く言うだけでは通じないこともあります。信頼関係をつくるために歩み寄る努力も必要なんだ、と自分自身も考えが変わりました」

浅草高校のいいところは?


旭さん「この高校の資源に気づけたら、好きなことはできる。例えば夜9時まで図書館が開いていて、勉強したい人は勉強できるし、部活もある程度好きな時間を選べる。ただそのことに気づけない生徒もいます。気づく力を育てることが課題でもあります」
高杉さんサポートできる、サポートしたいと思っている教職員はたくさんいます。これも資源の一つです」

どんな生徒が入学したらいいと思いますか?


旭さん「今の中学校で何かしらの生きづらさを感じているのであれば、ここを選択肢に入れてもらえばいいのかなと」
高杉さん年齢層も幅広く、いろいろな人がいます。受験に落ちてもここで頑張りたい、高校を卒業したいと強く思っている人にはいいと思います」
旭さん「たくさんの生徒が来てほしいとは思いますが、反面、いま来ているような生徒たちが、倍率が上がって入れなくなってしまうのは困ってしまいます。そうした人たちの最終的な受け皿の役割は担っていく必要があると思うのです」

授業風景

学習に不安のある生徒も手厚くフォロー。国語・数学・英語では少人数制などの授業もあります。

学校一見晴らしのいいスカイルーム事情があって教室に入れない生徒の居場所です。

夜間の授業もあるので晩御飯用の給食があります。この日のメニューは秋田県の郷土料理「お狩場焼き」。ボリュームがあるし美味しいと評判です。

旭先生もお食事に来られていました


最後はスカイツリー。学校からこんなに大きく見えます。夜は特にうつくしいですね~。

今後も浅草高校のような学校のニーズは増えていくと思われます。卒業後の進路も進学や就職など多様な生徒の希望に対応しています。
学校選びで悩んでいる人がいたら、浅草高校のような存在をぜひ教えてあげてください。必要のある生徒たちに知ってほしい学校です。

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